縁の下の力もち~美術スタッフとは~

コンサートや舞台、または映画やテレビの演出に欠かせないのが美術スタッフです。
舞台装置のプランから大小道具や照明など視覚的な効果全般を指揮する美術監督を筆頭に、それぞれの分野を受け持つ美術のプロフェッショナルが存在します。

●美術監督

美術監督は視覚的な要素すべての監督責任を持つ重要なポストです。まず、台本を読み込んでイメージをふくらませ、演出家と相談して舞台装置全体のプラン作成を行います。美術監督はプランがまとまれば、客席側から見た立体図や舞台装置組立てに必要な材料と寸法を記載した寸法図、完成予想の彩色イラストなどの図面一式を制作します。その後、各美術スタッフに提示して製作などを指示し、できあがった道具類の設置や全体のコーディネートの指揮をとります。

●照明家

劇場やスタジオなどで、演出プランに従って照明を当て演出効果を高めるのが照明家の仕事です。 美術監督が決めたプランを参考に、さらにイメージを具体化して照明計画を作り、それにしたがって会場に照明機材の吊りこみをします。演出によっては、数百台もライトを使い、高所での作業を行うこともあります。 照明家の役割はそれぞれ分担されており、ライティング効果を演出する照明デザイナー、調光器を操作する責任者であるチーフオペレーター、チーフの指示で調光器を実際に操作するオペレーターに分かれます。

●大道具方(大道具スタッフ)

美術監督の指示に従って、ロケセットやスタジオセットなどを実製作する専門家が大道具方(大道具スタッフ)です。 完成図や模型、立体図、平面図、寸法図、色指定などで構成された美術プランをもとに、規模の大きい道具類をつくります。その範囲は広く、背景の書割り程度の簡単なものから家1軒まるごと建てるほどの大きな規模まで、演出のイメージに合わせて具体化していきます。大道具方は背景をリアルに描く絵画能力にプラスして、立体造形能力や大工並みの木工技術も要求される仕事であり、製作時間も限られているため、多人数・連携の作業で完成させてゆく場合が多いです。

●小道具方

舞台公演や映画、テレビなどで、出演者が手にするさまざまな道具を小道具といい、それを制作するのが小道具方です。小道具は自ら製作する場合と、探し出して購入するケースがありますが、美術監督のイメージと演出にマッチした小道具を選ぶためには、雑貨や装飾品、植物全般におよぶ広範囲な知識はもちろん、時代背景や風俗など歴史的な教養も不可欠です。

■美術スタッフになるには

美術スタッフとして働くには、舞台技術や造形デザインと絵画のセンス、色彩感覚はもちろん、演劇全般におよぶ知識も必要です。資格などは特に必要ではありませんが、照明技術やデザイン・美術系の専門学校で基礎知識を身につけておいた方がよいと言えるでしょう。また、大道具方の仕事になると、大がかりな舞台セットなどは設計や建築の知識も必要になるので、建築関連も学べる専門学校を選ぶと良さそうです。
専門学校卒業後は、映画やCMの美術を請け負う会社やテレビ局の美術部に就職する場合が多いようです。しかし美術スタッフは技能職なので、入社したからと言って最初から製作をやらせてくれるとは限りません。アシスタント的なことから始めて少しずつ任せられるようになるのが一般的です。その後は大道具、小道具、美術スタッフ助手などを経て、実力次第で美術監督への道も十分考えられるでしょう。

いずれも演出の視覚分野に関わる美術の仕事ですので、器用さに加えてそれを形にするだけの創造力、機敏なフットワークと体力も欠かせません。

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